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名著『孫子/ The Art of War』を英語で読もう!難易度は?【戦わない戦略を学ぼう】

こんな方におすすめ!
  • 中国の兵法書「孫子」を英語で読んでみたい
  • どれぐらいの英語力があれば読めるのかを知りたい
  • 古代の戦略書から現代社会を生き抜くためのヒントが欲しい
孫子/ The Art of War
史実/伝記
創作/文学
短編
長編
初級
TOEIC500
600
700
800
900
上級

今回紹介する本は、約2500年前に書かれた古代中国の戦略書、孫子/ The Art of Warです。

この本、確かに古代中国の兵法書ではありますが、ただ単に戦争に勝つための方法を説いただけの本ではありません。

むしろ、「いかにして人との争いを避けるか。そして、やむを得ず戦わなければいけない場合は、どのようにそれを収めるか」がテーマになっており、現代社会の人間関係においても役立つエッセンスが詰まっています。

「戦争の本?なんか怖そう。自分には関係ないや」と思っている方にこそ手に取って欲しい名著となっています!

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僕自身が初めて「孫子」を読んだのは大学生の頃。呑気な大学生活を満喫していた当時の僕には正直あまり響きませんでした。
ですが、社会人になってから読み直してみると、孫子の教えの普遍的な本質が見えてきました。

目次

『孫子/ The Art of War』の英語難易度はどれぐらい?

英語ペンギン

挑戦してみたいけどどれぐらいの英語レベルだと読めるかな?

KEI

古典の翻訳だから読みにくさはあるけどTOEIC700点ぐらいあれば理解できるよ。

中国の古典が原文なので読みにくい部分はありますが、構成としてはシンプルで主張も明確なので、TOEICでいうと700点ぐらいあればついていけるはずです。

  • 文章:シンプルだが古典特有の読みにくさがある。日本語訳版と一緒に読むと理解しやすい
  • 単語:国際政治や地政学関連のニュースで見るような単語が多い
  • 構成:ストーリー調ではなく、著者が淡々とその教えを語る形式
  • 長さ:分量は多くない。日本語であれば2時間ほどで読める長さ

単語については読む前に押さえておきたいものをまとめたので参考にしてみてください!

読む前に押さえておきたい英単語7選

commander:司令官、指揮官
sovereign:主権者、君主、国王
assault:猛攻撃、急襲、強襲
strategist:戦略家
inexhaustible:無尽蔵の
rampart:塁壁、城壁、防御物
disciplined:規律の厳しい、しつけられた

兵法書なので戦争や軍隊に関する単語が中心です。これらの単語を覚えておくことで現代の国際関係のニュースを読むときにも役立ちます!

KEI

英語版はKindleだと150円という冗談みたいな価格で読むことができます!安すぎる!笑

孫子の基本戦略

それでは、ここからは『孫子』のエッセンスに迫っていきたいと思います!

『孫子』は全部で13の章から構成され、その中には陣形の取り方火攻め・水攻めの方法といったいかにも「兵法書」と言える内容も含まれます。

「さすがにそれは現代社会では使えんよ、、」となるので、この記事では僕なりの解釈で、現代の人間関係においても役に立つ『孫子』の思想の真髄を3つに凝縮してご紹介します!

孫子の教え3選
  1. 戦わないという戦略
  2. 情報収集 & 短期決戦
  3. 情報操作による主導権掌握

『孫子』の思想の面白いところは、兵法書であるにもかかわらず、なかなか読者に戦わせてくれないところです。笑

とにかく冷静に相手を観察し、己と相手の力量を客観的に分析することに多くの時間をかけさせます。なんなら、相手の力が上回る場合は逃げてもOKです。

KEI

序盤は「まだだ。まだ戦うんじゃない」パートが続きます。

そして、勝つ見込みがある場合にのみ戦うことが許されます。

その際に大切なのは、短期決戦で決着させること。無意味な争いを続けることは望みません。

人道的・道徳的な側面もあるとは思いますが、それ以上に戦争の長期化は国の経済にとっては悪影響でしかないことを理解しているんですね。

戦うことが仕事の軍人が書いた書物としては、かなり斬新で面白い視点だと思いませんか??

英語ペンギン

将軍っていうよりは優秀な企業の経営者みたいだよね。

KEI

国家情勢を俯瞰して捉える発想力もすごいけど、それを言語化して体系的に論じる論理構成力が天才たる所以だと思う。

孫子の教え① 戦わないという戦略

まず、『孫子』の思想のベースとなるのが「出来る限り戦わない」という非好戦的な姿勢

相手を観察し政治・外交上の手段を用いることで、戦わずして勝利を収めることが最上の戦い方であると説きます。

そんな『孫子』の考え方の本質が感じられる一節をピックアップしました!

戦わずして勝利することが至上

To flight and conquer in all your battles is not supreme excellence; supreme excellence consists in breaking the enemy’s resistance without fighting.
百戦百勝は、善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。

孫武『孫子/ The Art of War』3.謀攻篇/ Attack By Stratagem より

consist in~:〜に(本質的なものが)存在する

自分と相手の力量を客観的に分析せよ

If you know the enemy and know yourself, you need not fear the result of a hundred battles.
彼を知り己を知らば、百戦殆うからず。

孫武『孫子/ The Art of War』3.謀攻篇/ Attack By Stratagemより

まず不敗の態勢を確立し相手の隙を窺え

The skillful fighter puts himself into a position which makes defeat impossible, and does not miss the moment for defeating the enemy.
善く戦う者は、不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざるなり。

孫武『孫子/ The Art of War』4.軍形篇/ Tactical Dispositions より

defeat:破る、打ち負かす

KEI

極力戦わないという姿勢は現代の人間関係においても有効ですよね。お互いが嫌な気持ちにならずに問題を解決する方法を探りましょう。

孫子の教え② 情報収集 & 短期決戦

続いて、僕が面白いと思ったのが『孫子』における「情報」の重要性と「短期決戦」へのこだわり

特に情報については、「最先端のIT企業でもやっていけるんじゃないか」と思うほど、当時としては異常な情報リテラシーだと思います。笑

第13章は「用間」という章なのですが、「用間」とはつまりスパイのこと。スパイの使い方だけでひとつの章が構成されているなんてびっくりですよね。

事前の情報収集が勝負を分ける

What enables the wise sovereign and the good general to strike and conquer, and achieve things beyond the reach of ordinary men, is foreknowledge.
明君賢将の、動いて人に勝ち、成功衆に出づる所以の者は、先知なり。

孫武『孫子/ The Art of War』13.用間篇/ The use of Spiesより

foreknowledge:先見の明

意表を突き勝負は一瞬で決めよ

Rapidity is the essence of war: take advantage of the enemy’s unreadiness, make your way by unexpected routes, and attack unguarded spots.
兵の情は速やかなるを主とす。人の及ばざるに乗じ、図らざるの道により、其の戒めざるところを攻むるなり。

孫武『孫子/ The Art of War』11.九地篇/ The Nine Situations より

unreadiness:準備ができていないこと
warfare:戦争、交戦状態

戦いを長引かせてはならない

There is no instance of a country having benefited from prolonged warfare.
兵久しくして国を利する者は、未だ之あらざるなり。

孫武『孫子/ The Art of War』2.作戦篇/ Waging War より

instance:事実、実例
prolonged:長引く、長期間の
warfare:戦争、交戦状態

KEI

仕事でも相手を知ることって本当に大事だと思います。相手を観察することで攻めるべきポイントが見えてくる!

孫子の教え③ 情報操作による主導権掌握

最後に、主導権のコントロールについて。

孫武は相手にペースを握られることを嫌います。

戦争を有利に進めるためには自らが戦況をコントロールできる状況でなければならないと主張します。

そこで重要になるのが、常に冷静に自己の感情を支配し、情報操作によって相手を自分のフィールドに引きずり込むこと。

本書では怖いぐらいに冷静にその神業的な方法論が語られます。笑

敵を欺け

All warfare is based on deception.
兵とは、詭道なり。

孫武『孫子/ The Art of War』1.始計篇/ Laying Plan より

deception:欺くこと、欺瞞

自分が得意とするフィールドに引きずり込め

The clever combatant imposes his will on the enemy, but does not allow the enemy’s will to be imposed on him.
善く戦う者は、人に致して人に致されず。

孫武『孫子/ The Art of War』6.虚実篇/ Weak Points and Strong より

impose:課す、負わす
will:意思、決意、命令

決して感情的になってはならない

The enlightened ruler is heedful, and the good general full of caution. This is the way to keep a country at peace and an army intact.
明君は之を慎み、良将は之を戒む。此れ、国を安んじ軍を全うするの道なり。

孫武『孫子/ The Art of War』12.火攻篇/ Attack by Fireより

heedful:注意深い
intact:完全な状態で、損なわれずに

KEI

相手をコントロールするって言うとちょっとネガティブに聞こえるけど、自分を守るための術としてすごく重要だと思います。

まとめ

いかがでしたか?

とても2500年前に書かれたとは思えないような、非常に現実主義的で合理的な思想だと思いませんか?

戦争に勝利するための方策よりも、それを避ける方法や戦後処理といった国家の平和維持にフォーカスされている点が非常に好感が持てます。

戦争という最終手段を行使するとき、その真の目的は「勝利」ではなく、「平和」でなければなりません。

誰だって戦争はしたくありません。

ですが、人類の長い歴史が証明しているように、人間が他者と関わりを持つ限り地球上の争いはなくならないと思いますし、同じことが私たちの身近な人間関係においても言えると思います。

どうしても戦わなければならないときに、混乱の時代を生き抜いた先人の知恵に頼らない手はありません。

時代を超えて世界中で読まれる理由が分かる一冊でした!

KEI

「人に勝つため」ではなく「自分を守るため」の戦略書として、これからも『孫子』の教えを大切にしていきたいと思います。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 中国史も兵法もさっぱりなので最初は難しそうで躊躇しましたが、ところどころに解説が入っていたのでとてもスムーズに読めました!内容も面白くて元の本を読んでみたくなりました。

    • みなみさん、コメントありがとうございます!
      そう言っていただいてとても嬉しいです。まだまだ未熟な文章ですが頑張って書いていきますので、これからもチェックしていただければと思います!

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