この記事では英検1級とTOEIC900点のどちらが難しいかというテーマについて考えてみます。
英検1級とTOEIC900点はよく比較されますが、問題のタイプや問われる能力が異なるので一概には比較できるものではありません。
そこで、両方の試験を勉強して私が感じたそれぞれの試験の難しさについて紹介します。
ちなみに、私が英検1級対策を開始した時点でのTOEICスコアは930点でした。
英検1級の方が難しいと感じる部分
語彙の難しさ & 幅広いトピック
まず、英検1級とTOEICの最も顕著な違いは出題される語彙レベルにあります。
TOEICの語彙はビジネスや日常生活で使用されるものに限定されるので9000〜10000語水準の語彙力があれば十分にTOEIC900点はクリアできる印象ですが、英検1級ではさらに上の12000語から最大15000語水準までの語彙がテストされます。
簡単に言うと、英検1級に合格するためには、TOEICで要求される語彙に追加で2000~3000語を上乗せする必要があるということになります。
実際に私もTOEIC930点取得後に、英検1級パス単の2400語+αを新たに覚えて試験に臨みました。
また、長文のテーマとなるトピックの幅広さも英検1級の特徴です。
私が取り組んだ過去問を見ても、歴史や経済、心理学から科学技術・医療まで文理を問わず様々なテーマの長文が出題されていました。例えば、、
- アルゼンチンと英国のフォークランド紛争
- アダム・スミスの国富論
- 現代社会におけるサイコパスの肯定的側面
- データと人類の関係についてのユヴァル・ノア・ハラリの考察
- 遺伝子編集と医療技術
なかなか一筋縄ではいかない問題ばかりですが、幅広い分野の英文を読むことがそのまま試験対策に繋がるという意味で、英検1級は素晴らしい検定試験だと思います。
時事問題について自分の意見を述べる力が求められる
TOEICでは平和なTOEICワールド内で問題が完結しますが、英検では社会的なテーマについて自ら考え意見を発信する能力が求められます。
時事問題についての最低限の知識がないと、英語力以前の問題になってしまいます。
例えば、「原子力発電は推進されるべきか」というテーマについて英語で意見を述べるためには、現在の原子力発電を取り巻く状況を理解しておく必要があります。
純粋な英語力を伸ばす勉強だけではなく、日頃から社会情勢に関心を持ち自分なりに考える姿勢が大切ということですね。
英検1級の対策が時事問題に関心を持つきっかけになったと言う声もよく聞きます。
二次試験までの長期戦を戦う持久力が必要
英検1級の受験を決意すると、まずは難度の高い語彙問題や英作文の出題される一次試験突破に集中することになりますが、それゆえ意外と一次試験と二次試験の間のインターバルには意識が向きません。
無事に一次を突破した喜びと安心感を味わった後に、再度二次試験に向けてエンジンをかけ直すという精神的な強さが求められます。
長期的な気力と体力のマネジメントが求められるという点で、英検の方がTOEICよりも難しい部分だと感じました。
私にとっては一次試験の結果発表から二次試験までの1ヶ月間が最もメンタル的にタフな期間でした。
TOEIC900点の方が難しいと感じる部分
問題数が多く時間配分がシビア
一方で、私がTOEICの方が難しいと感じる部分はその圧倒的な問題数の多さによるシビアな時間管理が必要な点です。
- 英検1級 リーディング:41問(約70分) リスニング:29問(35分)
- TOEIC リーディング:100問(75分) リスニング:100問(45分)
初学者の頃は2時間で200問という問題数に圧倒されましたし、ある程度問題に慣れた今でもTOIEC模試をフル解くのはとても疲れます。
2時間気を抜かずに手を動かし続ける必要があるという意味では、TOEICの方が英検1級よりもハードだと感じました。
英検1級も2時間以上の試験ですが、TOEICに考えるとじっくり考える時間が与えられているという印象です。
簡単な問題は確実に正解しなければならないプレッシャー
TOEICで900点以上を取るには9割以上の正答率が必要です。
TOEICは英検とは違って級別ではないため、比較的簡単な問題も含まれますがそれらの問題は確実かつ素早く処理する必要があります。
簡単な問題は絶対に落とせないというプレッシャーがあるところが私がTOEICで苦手としている部分です。
対して、英検1級は合格だけを目指すのであれば7割程度の正答率で合格ライン乗ることができます。
さらに、一次試験はリーディング・リスニング・ライティングの合算で合否が決まるので、特にライティングが得意であれば他の分野で取りこぼしても十分にカバーできてしまうのが特徴です。
極端に言うと、英検1級ではライティングで満点近い評価を得られれば、リーディングが5~6割でも合格します。実際にそのようなスコアで一次試験を突破する方もいらっしゃいます。
まとめ
以上、英検1級とTOEIC900点のそれぞれの難しさについて考えてみました。
もちろんどちらの試験も基本的な英語の能力が何よりも大切なことは言うまでもないですが、求められる能力は微妙に異なっているので、人によってどちらが得意かは変わってくると思います。(私は語彙力があればスコアが安定する英検方が自分に合っていました)
いずれにせよ、両方の試験にチャレンジすることでバランスの良い英語力を身に付けることができるので、この記事が少しでもそのきっかけになれば嬉しいです。
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