この記事では英検1級二次試験のスピーチ練習法を解説します。
独学で英検1級の対策をしていた私にとってこの二次試験対策が最大の難関でした。
色々悩んで試行錯誤した過程とその結果辿り着いた練習法を紹介するので、これから英検1級を受験される方の参考になれば嬉しいです。
二次試験前は精神的にかなり苦しかったですが、苦しいと感じる練習をしたことでスピーキング力は確実に伸びたと思います。
私が採用した4つの基本戦術
1. 参考書は使わない
まず、二次試験対策を始めようとなったとき、私は他の多くの受験生と同様に書店で参考書を購入しました。
一次試験でお世話になった植田一三先生の書籍です。
しかし、読み始めてすぐに参考書を使っての対策は自分に合っていないと気付きました。
- モデルスピーチの論理構成が綺麗すぎて本番での再現性があるとは思えない
- 他人の意見で書かれたモデルスピーチで練習しても、「自分の意見を英語で述べる」という本質的な対策にならない
当然のことながら、参考書に収録されているモデルスピーチは英語のプロである著者によってよく練られた綺麗な構成のスピーチとなっています。
ですが、二次試験本番でのスピーチの準備時間はわずか1分です。
そのような短い時間の中で完璧な論理構成のスピーチを用意することができる人がどれだけいるでしょうか?
少なくとも私には無理だったので、たとえ拙くても自分の言葉で伝えるという練習をすることに決めました。
また、参考書のモデルスピーチは他人の意見で書かれたものであり、それをいくら練習したところで「自分の意見を英語で述べる」という本質的な練習にはなりません。
あくまでも、トピックに対しての自分の意見を考えそれを英語で表現する練習をするようにしました。
2. スピーチ原稿の暗唱・丸暗記はしない
次に私が試したのは、一次試験対策で書いた英作文を原稿としてそれを暗唱できるまで何度も繰り返すという練習法です。
これはSNSを見ても多くの受験生が取り入れている印象ですが、私はこの暗唱・丸暗記の練習もほとんどしませんでした。
- 本番では英作文のような綺麗な構成のスピーチはできない
- 暗唱・丸暗記に頼った練習では本番で想定したトピックが出なかったときに対応できないリスクがある
- そもそも書き言葉と話し言葉では本質的に異なる
私も何度か自分の英作文を原稿として暗唱してみましたが、練習している時こそ徐々に発話がスムーズになる満足感を味わえても、そうした自己満足の練習では本番での再現性がないと判断しました。
本番では初見のトピックに対してその場で構成を考えながら話す必要があり、暗唱とは全く違う脳の使い方・思考回路が求められると感じました。
どんな試験でも言えることですが、いかに練習時から本番を想定して練習できるかが鍵だと思います。
3. 最低限のテンプレートとアドリブをミックスする
最終的に私が取り入れた練習法は、「最低限のテンプレートをベースとし、内容はアドリブで話せるように練習する」というものでした。
全てがアドリブではそれはそれで練習での再現性がなくなるので、イントロと結論・各パラグラフの冒頭だけはテンプレート化して毎回同じものを使って反復練習をしました。
私が使ったテンプレートについては後ほど詳しく紹介します。
4. 練習はショートスピーチに全振り
二次試験の採点項目としては「ショートスピーチ・質疑応答・文法語彙・発音」の4項目がありますが、私はショートスピーチの練習に全ての時間を費やしました。
まず、文法語彙と発音については二次試験前の数週間で劇的に改善するものではないので一切意識することなく本番に臨みました。
質疑応答については、面接官からどのような質問が来るか事前に分からない以上は、当日臨機応変に対応するしかないと腹を括りました。
実際にショートスピーチが最大の難関だと思います。1分で準備して2分話すというのはどれだけ練習しても難しいです。ショートスピーチで自分の言葉で話す練習をしておけば、質疑応答は自然と対応できるようになります。
ショートスピーチ練習法
ここからは私が実際に取り組んだショートスピーチの練習法をステップごとに解説していきます。
1. 練習する分野とトピックの選定
まず、闇雲に様々なトピックを練習するのではなく、自分の得意分野に絞って練習しましょう。
一次試験の英作文と違って、二次試験のショートスピーチは5つのトピックの中から1つを選んで話す形式です。
苦手な分野のトピックについては潔く捨ててしまった方が得意分野の練習に時間をかけられますし、本番のトピック選びで必要以上に悩まなくて済みます。
私が練習した分野:政治経済、国際関係、文化、芸術、メディア、環境
私が捨てた分野:教育、法律、犯罪、ジェンダー、医療
英検1級でよく問われる死刑制度、安楽死、男女平等などのトピックは私の苦手分野だったので完全に捨てました。
2. 自分に合ったテンプレートの作成
練習する分野が定まったら、自分が実際に話すのをイメージしながら、スピーチのテンプレートを作ってきます。
普段人前で話すときに使う言葉を思い出しながら、初めは日本語で考えてみるのも良いかもしれません。
大切なのはとにかく「自分にとって話しやすい言葉」で作ることです。
無理に語彙のバリエーションを意識して使い慣れていない言葉を使おうとする必要はありません。
- イントロと結論は簡潔にしてボディに時間をかける
- 観点を明確にする
- 論理展開は極力シンプルに主張→理由→具体例を徹底
- 抽象的な一般論だけで2分間話すのは苦しいので、なるべく早く具体例に持ち込む(個人的な経験ベースの具体例でもOK)
私の使用したテンプレート
Nowadays, it is a highly controversial issue whether or not S + V(トピック文). Of course, some people argue that S + V, but I believe that S + V for the following two reasons.
Firstly, from the perspective of the ~ field, I think that S + V(主張) because S + V(理由). For example, S + V(具体例).
Secondly, from the perspective of the ~ field, I think that S + V(主張)because S + V(理由). For example, S + V(具体例).
In conclusion, for these reasons, I believe that S + V(トピック文).
テンプレートとしてはかなりシンプルです。ただ本番で柔軟に話すためにはテンプレートで縛りすぎない方が良いと思います。
3. 練習用のトピック&アイデアリストを作成
練習する分野とスピーチの構成が決まったら、具体的なトピックを選んでそれに対する自分の意見を考えていきます。
私はインターネットや過去問から英検1級のトピックを20個ほどピックアップして、それぞれに主張・理由・具体例を簡単にメモしたアイデアリストを作りました。
これはカンペではなくただのリストなので、英語で作っても日本語で作っても構いません。私は日本語で作りましたが特に不便はありませんでした。アイデア出しのコツについては英作文用に書いた以下の記事も参考にしてみてください。
4. 2分間測っての反復練習
アイデアメモができたら後は時間を測って反復練習あるのみです。
トピックが20題あると2分スピーチ→1分インターバルぐらいのペースで回すと1時間ほどで1周できるので、二次試験前の2週間は毎日それを2周ほどしていました。
原稿があるわけではないので、毎回アドリブで表現が微妙に変わりますが、それによって自分の考えをそのまま英語で表現する力が鍛えられたと思います。
初めは2分間のうちで何度も止まってしまって苦しいと思いますが、毎日繰り返すことで必ず上達するので諦めずに続けましょう。
一次試験の過去問演習と違って明確な点数が出ないため、練習するほど不安になる感覚があり精神的に辛かったのを覚えています。それでもここが最後の踏ん張りどころなので頑張りましょう!
当日の流れとイメトレには以下の記事をどうぞ。
まとめ
以上、私の英検1級二次試験のスピーチ練習法を解説しました。
スピーチのようなアウトプット系の科目の練習法は人それぞれ十人十色なので、練習している中で不安に感じることを多いと思います。
私の練習法はあくまでも一例でしかありませんが、これから英検1級にチャレンジされる方の参考になれば嬉しいです。
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